食費が高い。決して贅沢しているわけでもないのに食費が高い。
我が家は大人4人、中学生と小学生の子どもの合計6人家族ですが、毎月ルイ・ヴィトンの長財布(限定デザイン)が買える程度の食費がかかっておりました。
毎日外食しているわけでも、高級スーパーでオシャレな野菜を買っているわけでも、自宅に生ビールサーバーを置いているわけでもないのに!! どうして我が家の食費はこんなに高いのか!!
物価上昇!賃金減少!令和の冷夏でコメも高騰!毎日鶏ムネそれは苦行!俺はキッチンでマジ苦悩!
バイブスが上がりすぎて思わずラッパーと化してしまったわけですけれども、家計を預かる主婦として、食費削減は大きな課題の一つです。
単に食費を下げたいだけならば、解決は難しくありません。肉はすべて鶏ムネ肉、魚は食べないか、もしくは魚肉ソーセージ、野菜も外国産の冷凍カット野菜を使えば、生きていくうえで必要最低限の栄養は摂れるのです。
けど、そんな極論は誰も求めていませんよね。何よりも自分がそんな食生活に耐えられる気がしません。
最低限の品数、食べる楽しみ、喜ぶ家族の顔がなければ、なんのために毎日必死で食事の支度をしているかわからないではないですか。
このコラムでは、6人家族の食卓を支える私・ライターの甘木サカヱが、いかに日々の食費を削減し、同時に食べる喜びも得つつ、さらに日々の調理の負担をどう減らすことができるか、という三位一体の課題に立ち向かってきた軌跡を綴ります。
調理担当者が多いゆえの苦悩
我が家はキッチン共有の二世帯同居で、私と義母の2人の主婦がいます。更に義父も、料理教室に通って包丁を握る元気な高齢者。つまり我が家には、日常的に調理をする人が合計3人いるのです。
誰かが不在でも、家でご飯を作ってくれる人がいる……これは本当にありがたいことで、二世帯同居の大きなメリットの一つでもあるのですが、反面、大きなデメリットもありました。
調理担当の3人にはこだわりがあり、別々に食材や調味料の買い物をしていたためダブりや無駄買い、高値買いがしばしば発生し、家計を大きく圧迫していたのです。
卵や牛乳、食パンなどの毎日の必需品が切れそうになると、3人それぞれが気を利かせたつもりで買ってきて、結局消費しきれなかったり。
一時期は、「無いと困ると思って……」と別々に買ってきた豆板醤の瓶が、冷蔵庫に3個積みあがっていたことがありました。
しかもすべて開封済み。買い物担当が複数いる家庭では、食料の在庫管理は大きな課題です。
たびたび食材やお金を無駄にしたことでついに業を煮やした私は、義父母と話し合い、食料品の買い出しにルールを決めました。
必要な調味料や肉、魚などの食材は、私がまとめて買うこと。それ以外に必要なものや食べたいものは、調理する人が自分で買ってくること。他人が買ってきた食材を使うときは許可を得ることなどなど……。
この「買い物分担制度」とでもいうべき取り決めをして以来、食材を無駄にすることはかなり減り、以前と比べると食費はずいぶんスリムになりました。
しかし、なかなか一筋縄ではいかないのが大家族の食費問題。買い物分担制度が上手く運用できても、また別の問題が浮かび上がります。
すくすく育つ子どもたちの、食費とおやつ問題です。
未就学児の頃は、食費なんてしれたものでした。それが小学生になり、運動系の習い事をはじめ、中学生になり……と成長するにつれ、馬鹿にならなくなってきたのです。
毎食の食材の量が増え、特に子どもたちの好物である肉類のおかずは、大量に作ったつもりでもきれいに無くなります。
買っておいたおやつは、一日ひとつまで、と厳しく言い置いてあるにも関わらず、腹ペコな子どもたちによっていつの間にかどんどん減らされていきます。
おやつだけでは足らずに、冷蔵庫にあるウインナーやハム、チーズなどを勝手にどんどん食べてしまうため、いざ料理に使おうと思っても足りないことがあるのも悩みの種でした。
食費の悩みというのは、家族構成や家庭の状況によって実に様々なのだな、とつくづく感じるようになったのもこの頃です。例えば、忙しくて調理の時間がとれない家庭なら、スーパーの総菜や外食費が大きな負担になるでしょう。
家族全員が小食だったとしても、アレルギーや偏食の人がいれば、除去食などを別に用意するコストがかさみます。
夫婦共働きで買い物に行く時間がない家庭なら、多少割高でも食材の宅配に頼らざるを得ない、ということもあるでしょう。
食費はそうでもないのにアルコール飲料代が高い……というパターンもありますね。
我が家の場合は調理時間には比較的余裕があるのですが、人数が多く、みんな元気でよく食べるため、どうしても食費自体が高額になりがちでした。
ライフスタイルにフィットした「運命のスーパー」を見つけよう
これらの問題を解決するために、ぜひ必要なもの……それはずばり、それぞれの家庭のライフスタイルにフィットした「運命のスーパー」ではないでしょうか。
食費削減という観点でだけ考えれば、底値の商品を一つひとつ探してあちこちの店を買いまわるのも良いでしょう。
しかし、現代に生きる忙しい私たちには、たいていそんな時間の余裕はありません。家庭の状況に合わせてできる限り効率的に、買い物に立ち寄る店(運命のスーパー)は絞りたいものです。
そして食品スーパーと一口に言っても、店によってその品ぞろえ、特に何が安いかという「得意分野」はさまざまです。
大家族の我が家にとって最高の店は、安くて大容量の商品が充実している某大型スーパーです。
店舗数もあまり多くない関東ローカルチェーンなので、あえて店名は出しませんが、特に精肉の安さと質の良さが素晴らしいお店です。鶏肉なんてキロ単位で売っており、その分グラム単位の安さは他の追随を許しません。
また、おやつ類は圧倒的に安いディスカウントストア(ドン・キホーテなど)で、ファミリーパックの菓子や、小袋のグミ、チョコレートなど半月分をまとめ買いしています。
ちなみに、買ってきたおやつは「これ全部で〇日までの分だよ」と子ども達に見せてどれが食べたいか相談させることで、自主的なペース配分をさせることに成功しました。足りなくなったり、兄妹で取り合ったりするなどのトラブルも減っています。
ほかにも日中はさほど割安感はないけれど、夜遅くなるとお弁当類の割引率が高い店。
お菓子やアルコール飲料が安いディスカウントストアなどなど……お店によってさまざまな特色があります。各家庭のライフスタイルによって、どんな店が運命のスーパーになりえるのかは異なりますよね。
そんな運命のスーパー探しの強い味方、それはなんといってもご近所の、できれば家族構成やライフスタイルが似通った家庭からの情報です。
「仕事帰りの19時過ぎに、最寄り駅前の総菜屋が投げ売りをしている」とか。
「あのディスカウントストアは、子どもが好きそうなお菓子がやたらと安い」とか。
勇気を出してご近所さんに「いつもどこで買い物してるんですか?」と尋ねてみれば、思いもよらなかったお得情報を手に入れることができるかもしれません。
まとめて作っちゃえ~2週間空けば献立忘れる理論~
また、調理段階での食費削減の工夫として最近私がよくやっているのが、「2食分まとめて作る」というものです。
もう完全に文字そのまま、何のひねりもありませんが、例えばから揚げを作るとき、翌日のお弁当用なども含め、鶏肉1㎏を仕込むところ、倍の2㎏を一気に作ってしまいます(この鶏肉の量は誇張でもなんでもないのが恐ろしいところです)。
そして出来上がったから揚げの半分は、粗熱をとって、フリーザーバッグに入れて冷凍してしまいます。
あまり長い期間保管すると冷凍やけを起こして美味しくなくなってしまいますが、家庭の冷蔵庫でも2週間ほどならたいていの食材は解凍しても美味しく頂けます。
2週間経てば、もう家族は過去のから揚げのことなんて忘れていますし、覚えている執念深い人がいたとしても、月に2回同じメニューが出るくらいなら許容範囲ではないでしょうか。
カレーやシチューなどは大量に作ったほうが美味しくできますし、何日も同じものを食べるくらいなら、作ってすぐに冷凍した方が、もう一度出したときによほど喜ばれます。
まったく同じメニューを出すのが気が引けるならば、例えば解凍したから揚げに、千切り野菜の甘酢あんを作ってかけたり、大根おろしとポン酢醤油でさっぱり和風からあげにしたりしても良いのです。
これなら割安な大容量食材も使い切れますし、光熱費も削減できます。そして何よりも、毎日の調理の手間が省けます。
かくいう私も以前は、冷凍した食材はついついその存在を忘れ、カラカラのフリーズドライ状態になってようやく思い出して捨てる、というようなことを繰り返していました。
冷凍食材を無駄にせず使い切るコツ、それは「作り置き冷食は未来の自分へのギフト」という意識を持ち続けることだと思います。
2週間前の私が、今日の私の仕事を肩代わりしてくれているというのは実にお手軽で幸福感に満ち溢れる事実です。
また、食材そのままの状態ではなるべく冷凍せずに、から揚げならば揚げてある状態、おひたしならば切ってあり、解凍して削り節をかければすぐに食べられる状態にしておくなど、解凍後の手間をなるべく減らすようにするのが、自分へのギフト感を高めるコツです。
衣がしんなりして悲しい食感になるならば、甘辛い出汁で煮て卵でとじて丼にすればよいのです。甘辛く煮て卵でとじれば、大抵の食材は美味しくいただけます。あまり気負わずに、柔軟に対応していきましょう。
食事は、決して毎日生真面目に一から作らなくても良いのです。冷凍食品が手抜きの代名詞のように言われていた時代は、ようやく過去のものになりつつあります。家庭用の冷蔵庫も進化して、冷凍・冷蔵ともに、より食材の鮮度を長く保つことができるようになりました。
少しでも余裕のある時にまとめて作って冷凍。それが結果的に食費の削減にも大いに貢献してくれるのですから、こんなに良いことはありません。
まとめ
数ある主婦向け雑誌の節約特集や「1食〇円!」を謳う節約料理本をめくってみても、食費の削減の方法は実にさまざまです。
この記事で綴った節約作戦で、我が家の場合、一か月の食費を最大で40%近くの削減することに成功しました!「決して無理をしすぎず、心まで貧しくならないように……」がモットーの私にとって、今の食費は十分満足のいく額です。
もちろん、食費の削減に最適な方法は、家庭の数だけあるはずです。どうか無理せず、なるべくなら楽しく、自分をラクにしてあげられる方法を見つけていきましょう!