ライターのシマヅです。
ガチでお金に困ったとき、何をするか。バイト? 会社に黙って副業? そんな時間は無い! といった人の駆け込み寺が、消費者金融……じゃなくて、「リサイクルショップ」じゃないでしょうか。家にあるものを持って行くだけでお金になるなんて最高じゃないですか。ただ、その実態はあまりよく知られていない気がします。筆者(私)もよく知りません。
結婚してから自由に使えるお金がガタッと減ったうえに、そもそも下流ライターという香ばしいポジションにいる筆者、マジで「お金がない」!
家にあるものをなんでも高く売りたい! 1円でも高く! できるなら大金で! ということで今回は、お金が必要な人の救世主、「ブランド品のリサイクルショップ」の店長さんに「リサイクルショップで商品を高く買ってもらうコツ」などについて伺ってきました!
そもそも「リサイクルショップ」と「質屋」の違いって?
伺ったのは、都内某所にある「ブランド品のリサイクルショップ」。大○屋みたいな、ヴィトンの財布とかシャネルのバックとかを扱う種類のお店です。取材を受けてくれたはいいけど、こういう系のお店にありがちな「いろんな事情」がどっさりあるらしく、モザイク必須とのこと。筆者、画像にここまでモザイク処理をしたのは初めて。
店長兼経営者のAさん。意外と物腰柔らで威圧感もなく、イメージしていた「こちとら『ゼニ』の世界で商売しとるけん、警察もヤ○ザも怖くない。失礼な質問したらブッ飛ばすぞ」といった雰囲気は皆無。よし、心置きなく色々聞くぞ!
筆者「そもそも、『リサイクルショップ』ってなんなんですか?」
店長「リサイクルショップは、管轄の公安から『古物商』の許可を得ている店です。中古自動車販売とか金券ショップとか古本屋とかリースショップとか、簡単に言うと、『中古品を扱う業者』ですね。その中のひとつとして『ブランド品のリサイクルショップ』があります。
よく『質屋』と混同されるのですが、質屋は古物商の許可以外に『質屋営業法』という、貸金業に近い許可制度があり、これを公安委員会に認めてもらわなければなりません。
認識としては、リサイクルショップは品を買う、質屋は品を担保にお金を貸す、でいいでしょう」
店長さんによると、質屋は大昔からあって、質屋で成功し財を成したのが現在の大手銀行の一部なんだとか。へー知らなかった!
店長「全部ウィキペディア情報です」
は?
ブランド品は「生物(ナマモノ)」
筆者「買い取り側が『これは高く売れる』と思う品ってどんなものですか?」
店長「まず、ちょっと当たり前みたいな話をしますが、“価値が現金に近ければ近いほど高い”のが原則です。例えばクオカードですね。逆に、価値が現金から遠いほど、『高く売れない』と判断し査定額も低くなります。例えば服です。10万円で買った服を、その1分後に友達に見せても、その友達が10万で買い取るとは限らないでしょう?
つまり、現金に近く、さらに保障がある(カード会社が加盟している)金券のたぐいは、売買されやすいので買い取り額も高額。特にどのショップでも買い取り額が高いものは、百貨店の共通商品券。『金(きん)』もそうですね。『モノ』より『お金』に近く、保証があってどこでも使えるもの」
筆者「例えば、金券が1000円だとしたら、買い取る際はいくらになるんですか?」
店長「それは店によりますけど、だいたい定価の92~94%くらいでしょうか」
店長「金券類を別にすると、『高く売れる』と思って高額で買い取るものは、人気があるものです。例えばルイ・ヴィトン。日本だけじゃなく世界で人気がありますので。また、流行があるものより、安定した人気のあるものを高く買い取ります。アジアはそれが顕著でしょう。中国のお客様なども、特に売買にいらっしゃいます」
店長「ただシャネルに関しては、人気なのですけど売買層がほとんど女性だけになってしまうのでルイ・ヴィトンより買い取り額を低くせざるを得ません。ルイ・ヴィトンだと、ユニセックスというか、より幅の広い商品展開なので男性もターゲットになります。なので、買い取りの際、売れるのを見越すと価値は高くなりますね。
つまり、欲しい人の数が多いほど買い取り額が高くなるというわけです」
筆者「なるほど。ちなみに、新品のブランド品をすぐ売りに行ったらいくらになるんですか?」
店長「まず、保証書はもちろんのこと、レシートが大事なんです。人気のあるブランドなら定価の9割で買い取るとはいえ。ブランド品は生物(ナマモノ)ですから、時間が経つにつれ、次に買う人からすると価値が下がります。いつ買ったのかが分かるのが重要なんです。
レシートがなかったとしても、付属品が全部あればそれなりに高価な買い取り額になりますけれど、次に買うであろう人の『信用』が得られることが大事ですね。レシートは、ナマモノであるブランド品を扱う際に一番の『信用』になります」
店長「買い取る側の我々は、当たり前ですがリスクを背負います。買い取っても売れないのであれば、お金をドブに捨てるようなものですから。人気のないもの、流行に左右されるものは、どうしても買い取り額を低くせざるを得ません。
極端な話、定価10万円の品でも人気のないものなら0円の買い取り額になることもあります。例えば、ハリ○ウィンス○ンは高価ですが、中古で欲しいと思う人はあまりいませんから高額の査定はしづらい。しかも特注の品だったら、買いたいと思う人はさらに減りますよね。つまり、どれだけの人が『中古でも欲しがる』かが価値を決めるということです」
キズモノは補修してから、でもうまくやらないと
筆者「ダメージが多いものなどを、売りにきた側が事前に補修したものは買い取り額アップになりますか?」
店長「なります。しかし、『店頭で売っているものに近い状態』じゃなければ逆効果です。アクセサリーを研磨しすぎて形が変わっていたり、バックなら街のリペアショップで安く補修したようなクウォリティの低い仕上がりになっていたりなど。
例えば、シャネルのバックは日本の気候に合っていないので長く使うと中がベタベタになってしまうこともあるのですが、きちんとショップに行けば補修してくれます。それを自分でやってしまい『お店で売っていた状態と違うよね』となれば、次に買う人も嬉しくないし値段も下がります。
まぁ、補修をやることには意味ありますけれど、やりすぎないように」
お金にまつわる「トラブル」
筆者「男性と女性で買い取る側は態度や金額が変わってくるもの?」
店長「基本それはないです。しかし、男性は警戒しますね。偽物を持ち込む場合が多いんです。もちろん女性でもいますが、自分の体験としては詐欺を働く人は男性が圧倒的に多いですね。しかも、高額な偽物を持ってきます。女性の場合は少額な偽物が多いかな。男性なのに女性もののバックとか持ってこられるというときは……。まぁ、地域やお店にもよるでしょうね。
あと、これは男女関係ありませんが、ほぼ壊れかけのものをわざと持ってきて、ちょっと触っただけで『壊れた! 保証しろ! 買い取れ!』と言ってくる人もいます。
偽物を持ち込まれた場合、言いがかり前提で商品を持ち込まれた場合、どちらも基本は警察に突き出します。こういう店には、必ず防犯カメラが付いていますから(笑)」
手におえない「詐欺師」
筆者「一番高かった買い取り額と、その逆は?」
店長「低かったものはメッキアクセサリー。1円で買い取りました。正直ゴミですが、常連さんが持ってきたものなので、情というかなんというか」
店長「高かったものは金塊です。お金持ちのおじいちゃんから500万で買い取りました。理由は最初に言ったとおり、現金により近いから。まぁ、売買益はそんなに出ないんですけどね。
ちなみに、最近は海外から日本に金塊を持ち込む人が多いです。密輸も多いです。それをする人たちは、人を3人くらい介すんですよ。そうなると、名前入りのような特殊なモノ以外、出所が分からなくなって、買い取る側も密輸品であることが分からなくなってしまいます。悪い人は何でもしますね……。うちの店はそういう犯罪にあったことがないので詳しくは知りませんが」
リサイクルショップの今昔
筆者「ずいぶん前からネットに店舗を設けている業者さんも多くなりましたが、ネット販売と店頭、どっちが売れますか?」
店長「圧倒的にネットです。こういう業種は、やはりもう全部ネットを使っていますよ。街でお店を構えても来る人は限られるうえ、人件費・光熱費、その他もろもろ払いますよね。それよりネットの方が、かかる時間も一緒なのに経費削減になる。店頭だけでやっているところはどこもないんじゃないかな。
ちなみに、ある一定期間売れなかったモノは処分、もしくは業者同士で取引します。業者オークションみたいなものがあるので。
メ○カリとかもね、結局、買う側も売る側も業者と一般の人の割合は、5割だと思いますよ。その辺、一般の人は慎重になってほしいですね。買ってもらえたら嬉しいですけど(笑)。とにかく、店頭はあんまり意味がないです」
結婚指輪を査定してもらった結果
なるほどなーと聞いていたけれど、実際に「リサイクルショップ」でブランド品を査定してもらったことのない筆者には、実像がまだつかめません。
ということで、夫に買ってもらった結婚指輪がいくらになるのか見てもらいました。カルティエの約15万の指輪です。さて、結果は如何に……!?
店長「(レシート以外の付属品は全部そろっていて)3万円です。指輪は特にそうなります。女性が付けがちな小さいサイズの指輪は男性に需要がないので買い取り額低くせざるを得ません」
はあ!? ふざけんなマジで!!
店長「値段(買い取り額)にこだわる人には、『買った店(ブランド店)に返品すればいい』と言います。それが一番金になりますよ。受け付けてくれるかどうかは僕の知ったこっちゃありませんが」
まとめ
事細かにお話をしてくださった親切な店長さんですが、やはり商売人。商品を介すとなるとシビアでした。そもそも結婚指輪を売る気は(今のところ)ないですが……。
とはいえ、商売人も人間。「いつも来てくださっていたお客さんが亡くなったとき、親族の方が遺品を持ってこられまして。とても考えさせられました。一期一会の商売だと思っていますが、だからこそ、二度と会わないかもしれないのに、モノじゃなく人に情が移ってしまうんですよ」とポツリ。
筆者の勝手な考えですが、これを逆手に取り、買い取る側に情を移してしまうのが一番「高額で買い取ってもらう方法」かもしれませんね!
以上、人間のクズからでした!