出世すると給料が下がる会社は実在した ハルオサン体験談

 

求人情報を眺めていると・・・・
こんな文言を見かけることがある。

 

『管理職』候補募集!

『幹部』候補募集!

 

数年前、私はとある会社の管理者候補として入社しました。

3か月の研修を終えた後、管理者として正式採用される予定です。

知人の紹介で、どうにかこうにか見つけた仕事です。

私も必死に働きました。

休憩時間になると、数十名の社員で休憩所があふれかえる。

ぞろぞろ・・・・30~40名ほどだろうか???

もう何十年も務めている先輩社員もゴロゴロいる。

そこである『一つの疑問』が思い浮かびました。

(何でこの社員の中から、

管理者を選ばなかったんだろう?)

わざわざ資格も経験も無い自分を、管理者候補に採用する理由がわからない。

その疑問を年配の作業員に投げかけてみると・・・・・
驚くべき答えが返ってきました。

「そりゃぁ管理者になったら給料が下がっちまうからな!

仕事も責任も増えるんだから、誰もなりたくないわ・・」

 

 

どういうこと?!

責任者になれば仕事や責任が増えるのは仕方ない・・・
でも管理者になれば、平社員よりも基本給が5万~ほど上がるはず。

 

『給料が下がる』とは、どういう意味だろうか?

 

そんなことを考えていると、年配の作業員が加えて言いました。
「管理者には残業代が出ないんだよ・・・」

 

わけがわからない。

 

 

管理者になると仕事量が増える。責任も増える。

なのに給料が下がる?

 

思わず年配の作業員に言いました。

「メチャクチャじゃないですか・・・
誰がそんな役やるんですか?」

 「うん、だから募集をかけたんだろ?」

 

なんてコントみたいなやり取りをして、

アハハハと笑い合ったものの・・・・・・

全然笑い話じゃなかった。

 

 

まるで罠のような求人だ。

ひっかかってる。ひっかかってる。

 

そもそも、なんで管理者には残業代が支払われないのか?

どうやら労働基準法によると・・・・

 

『労働時間』『休日』の定めは、
管理者には適用されないらしい。

 

つまり!どんなに残業しようが、休日出勤をしようが、
管理者に『手当て』が支払われることは無い。

 

 

作業員の給料の大半は、残業代と休日出勤手当でなりたっていました。

 

基本給20万に加えて残業代と休日出勤の手当が10万くらい。

 

だから管理者になったら給料の3分の1以上がカットされたあげく、
さらに勤務時間が伸びて仕事量と重い責任まで増えてしまう。

 

最悪だ。

 

そりゃぁ管理者になりたい人なんていないだろう。

いやいや・・・もしかすると・・・・・

 

会社は、『多額の残業代』と『休日手当』を払いたくないがために、
新入社員をあえて管理者として採用しているのかもしれない。

 

こういう経費節約の手法を
『名ばかり管理職』なんて呼び方もあるらしい。

 

 

そういえばスーパーや飲食店などでも、
入社すると即『店長』という役職が与えられたりする。

あれも残業代や休日出勤手当を、
少しでも支払わないようにするために与えられる、
『名ばかり管理職』なんだろうか?

 

どうやら裁判になっている事例もあるらしい。

 

日本の労働の『闇』を見た。

私も研修が終わればいずれ役職を与えられ、
まるで奴隷のような『管理者』になってしまう・・・・

 

どうする?まだ研修中の身だ・・・・辞めるか?

 

いやいや・・無理だ。

 

次の仕事なんて見つかるワケがない。
なるしか無い。なってやろうじゃないか管理者に。

確かに管理者になれば『お給料は下がる』かもしれない。

 

でも責任ある仕事を沢山任せられることになる、

それはきっと『お金に変えられない貴重な経験』だ。

いいさ、お給料は生きていける分あれば十分だ。

 

どうせやるなら、
部下をちゃんと思いやれる、良い管理者になろう!
私はそう心に決めました。

 

そして・・・・あっという間に研修期間の3か月が終わり。

ついに私が管理者になる時がやって来ました。

 

一体どんな待遇になるのか?給料は本当に下がってしまうのか?
どんな仕事を任せられるのか?その量は?聞きたい事が山ほどありました。

 

上司に呼ばれ、私は応接間に向かいます。

そこで上司は・・・・・

ゆっくり遠回しに・・・遠回しに、3つのことを伝えてきました。

 

①お前は無能。
②管理者にはできない。
③この会社にもいらない。

 

 

つまり研修(試用期間)の結果・・・・・

 

バリバリの不採用だった。

 

 

・・・・・・えっ?その後ですか?

 

やってやりましたよ!ガツンとね!

 

ガツン・・ガツンと・・・

 

 

おしまい

 

P.S. 会社の恩情で、一般作業員として採用して頂きました。