話の中に一つ、明らかに異質な話が混ざっていた
私以外に気づいた人間がいなかったのか?
ただの聞き間違いだったのか?
それとも・・・
このトンネルの本当の恐ろしさを知る。
元ヤンの先輩が教えてくれた。
『地元のヤンキー達が夏に行う遊び」
・・・それは考えれば考えるほど
狡猾な手口だった。
つまり・・あの定番の心霊スポットそのものが罠なのだ。
女性を油断させ。人気のない山奥に連れ出す口実。
深夜の真っ暗な山奥まで連れ出して。
女性にこう言うわけだ。
「ここで降りて一人で帰るか?」
「ここでオレとするか?」
「どちらか選べ」
断るのは難しい。
それなのになぜ2択を迫るのか?
・・・ここに彼らの狡猾さがあるのだ。
店で商品を選んでいると突然店員さんに「じゃあ「A」と「B」どちらが良いと思いますか?」と妙な質問をされた経験が無いだろうか?
あれも意識を限定させ「買え」と人をコントロールする。
「ヤンキーは見た目は怖いけど、優しい人が多い」と言う人もいる。
そうかもね。
彼らが欲望を満たすまでは・・・そうかもしれない。
人知れず、夏はこういう事件がよく起きる。
恐ろしいものが。
見た目まで恐ろしいとは限らない。
きっと都合よく。優しく。笑顔で。愛想よく。
あなたを誘ってくるはずだ。
安易に心霊スポットなどに行ってはいけない。
いや、行かなくていい。
・・・・幽霊なんてどこにもいない。
本当に恐ろしいものは、
もうすでにあなたの傍にいる。
おわり