勤続47年の超ベテラン職人~引退してもなお会社の行く末を思う

こんにちは!

新・ぜんそく力な日常という実体験をもとにした絵日記ブログを運営する碧乃あか男と申します。

皆さんの会社には、新卒から定年まで同じ会社一筋に勤めていた方はいますか?

僕が昨年まで勤めていた会社は、プラスチック製品を成形する工場で、田舎の小さな町工場なのですが、創業はなんと昭和24年!

とてもとても小さな町工場なのに、70年以上の歴史のある、地元でも貴重な会社なんです。(創業当初はプラスチック成形ではなかったらしいが……)

で、そのプラスチック成形をする工場なのですが、実は成形をする為の金型も自社で作っているんです。

そして、この金型部門には、Tさんというベテランの職人さんがいました。

Tさんは北陸地方出身で、中学を卒業後、先にウチの会社で金型の職人をやっていたお兄さんの後を追って入社しました。

聞いた話では、若い頃は朝の6時から夜の9時まで、安全装置が付いていないような危険な成形機で、ほとんど休みもなく働いていたそうです。

夕飯食べながら仕事って……

ちなみに、この安全装置が付いていない成形機で、実際に腕を潰してしまった人がいたそうです。(ぎゃー!)

そして、30代になってようやく金型職人のお兄さんの下で金型技術を学び、金型職人へ……

その後、お兄さんの定年に伴って、50代でようやく金型部門の課長になったという、なかなかの苦労人なんです。

定年後は再雇用で働いていたのですが、今から10年ほど前、Tさんが62歳の頃、会社はリーマンショックの影響で、注文が激減し、経営がピンチになってしまいました。

そして、人員削減のためベテランの社員をリストラする事となりました。
再雇用だったTさんもその対象になり、15歳から62歳まで47年間も勤めた会社を退職する事になりました。

退職が決まった時は落ち込んでいたTさんでしたが、会社の為と気持ちを切り替え退職日までしっかりと働いていました。

Tさんが退職する日、僕はTさんと話す機会がありました。

僕は長男という事で、Tさんには”あんちゃん”と呼ばれてました。

 

と、社交辞令のつもりで言ったのでしたが数ヶ月後……

日曜日の昼間、突然家のインターホンが鳴り、出てみると……

そんな感じでTさんは、数ヶ月に一度、僕の家に来ては、玄関先で会社やお互いの近況を話したものでした。

そして、今から2年前、僕が体調を崩して会社を長期で休職していた時も、Tさんはやって来ました。

当時僕は、工場の生産の管理をしていたので、僕の休職は会社にとって、かなりの痛手だったみたいで

現在の悲惨な状況をわかる範囲で話すと

T「そっか……そんな酷いのか……」

T「しかしまあ、あんちゃんが休んでたら、もう会社の事は聞けねーな…」

と、Tさんは少し寂しそうに帰って行きました。

僕はその後、体調の回復が思わしくなく、昨年末に会社を退職しました。

そして今年の冬……突然インターホンが鳴り

前に休職してるって言ったのになぁ……

僕は、Tさんに会社を退職したことを告げました。

T「そっか……あれから復帰したと思ったのに、ダメだったか……」

T「ま、あの会社じゃ辞めて当然だな!」

そう言って、Tさんは帰っていきました。

これでTさんとも本当にお別れなんだろうなぁ……

ちょっと寂しいかな、そして今年の夏……突然インターホンが鳴り

Tさんキター!

しかも僕が会社辞めた事忘れてるー‼︎

会社を辞めた事を再度伝えましたが、Tさんが会社を退職して10年……

すっかり老け込んで、職人時代の面影がなくなってしまったTさんは結局、僕が会社を辞めた事を忘れて、また家に来るんだろうな〜

以上で僕の体験話は終わりです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

著者 : 碧乃あか男

はてなブログで体験談をもとにした絵日記漫画を更新中。Twitterのフォロワーは2万人を超える人気ブロガー。

Twitter : @MrAK1971

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