『すごい人研究所』というブログを運営している“志田恵”です。普段は児童養護施設で働きながら、子育てや感情コントロール、すごい人の話などの情報を中心にブログで記事を書いています。
今回は、家事を全くしなかった父が、進んで家事をするようになった体験談を紹介していきます。
家庭内だけではなく、職場でも活用できる考え方だと思いますので、パートナーや子ども、職場の後輩がなかなか動いてくれずに困っている方は、参考にしてみてください。
「具体的な感謝」をしたら父の行動が変わった
してくれないことに焦点を当ててイライラしないほうがいい
私の父は全く家事をしませんでしたが、ある日たまたま洗い物をしてくれたことがありました。しかし、洗い物をしてくれた父に対し、私は「普段はほとんどやらないけどね」と本音を言ってしまったのです。
その後、父は私の言葉に激怒して大暴れ。「せっかくやってやったのに感謝されない」という気持ちがあったのだと思います。他人が何かをしてくれた時、言いたいことがあってもその気持ちはグッとこらえて、まずは感謝の気持ちを伝えることが大切だと学びました。
一度父を怒らせてしまってから、後日また父が洗い物をしてくれることありました。その時に、前の反省を活かして具体的に感謝の気持ちを伝えたら、それから父が洗い物をしてくれる頻度が上がったのです。
この「他人が思うように行動しないからといって、それについて指摘をしないほうが良い」ということは、私の母が教えてくれたことでもあります。実は私が掃除を手伝うようになったのも、たまたま気分が乗って掃除をしたときに、母が喜んでくれたのがきっかけだったのです。
私自身も子どもの時にあまり手伝いをしなかったのですが、母はそんな私に一度も「手伝いをしろ」と怒ったことがありませんでした。いま考えると、もし強制的に「手伝いをしろ」と言われていれば、掃除を楽しいことと感じなかったと思います。
私が大人になった頃、母に「子どもが手伝いをせずにテレビばかり見ててイライラしなかったの?」と聞いてみたことがあります。すると母は、「もちろんイライラしたけど、自分で気付いてほしかったから、子ども達が自分から手伝いするって言うのを待ってたんだよ」と言っていました。
そのとき、私の母のように、本人がやる気になるまで待つ忍耐力と、本人がやる気を出してくれた時を見逃さずに気付き、感謝することが大切だと思いました。
大切なことは「具体的な感謝」
何かをしてもらった時に感謝の気持ちを伝えることだけでも効果はありますが、特に『具体的に感謝をする』ということは効果的だと感じます。
実際、私の知り合いであり、児童教育を専門とする臨床心理士や精神科医の人は、「子どもが、良い・望ましい行動をした時に、大人がその行動を具体的に褒めることで、子どもはその行動が良い行いだということを認識することができ、その行動を強化することができます」と言っていました。
これは、私が父に対して行ったことと同じだと気付きました。相手が工夫してくれたり、丁寧に取り組んだりしてくれた箇所に対して、私は具体的な行動を褒めていたのです。
私の父の場合だと、「コンロまで綺麗にしてくれたの?」「水切りかごまで綺麗にしてくれたんだ」と具体的な感謝を伝え続けることで、やる気を出して排水溝や換気扇まで徹底的に掃除をしてくれるようになりました。
「具体的な感謝」は仕事でも実践できる
この『具体的に感謝する』という方法は、仕事で部下を教育するときでも活用できると思います。実際、私は職場の研修生に対して良い行動を具体的に褒め続けたところ、誰よりもその行動を一生懸命してくれました。
「報告書、いつもより早く提出してくれたね」「いつも誰よりもたくさん電話を取ってくれてありがとう」など、後輩の良いところを見つけて感謝することは、今からでもできることだと思います。
「言いたいことがあっても、ひとまず我慢してみること」「本人がやる気を出した時を見逃さずに具体的に感謝すること」。これらの行動を家庭や職場で実践してみたら、周りの人の“行動”も変わっていくかもしれません。