ご存知でしたか。10月10日は「缶詰の日」なんだそうです。
缶詰。なんともファンタスティックな発明ではないでしょうか。長期保存しやすいし、持ち運びもしやすい。しかも大概、開けてすぐに食べられる。
人間自らが作った、人類の大いなる味方だと思うんです。
なかでも缶詰好きの私(ネッシーあやこ)が出会い頭に、心をガツンと撃ち抜かれるような衝撃を覚えたのが、2011年に登場した、いなば食品のカレー缶詰。
ご存知な人も多いのではないでしょうか。大ヒットを飛ばし、2013年には日本食糧新聞社の「第32回優秀ヒット賞」を受賞しています。
「タイカレー、タイで製造してます!」という本格派。
私はこの缶詰を「世界でいちばん持ち運びしやすい美味いカレー」だと信じてやみません。あたたかいごはんさえあれば即、本気のカレーライスが食べられるから。
「温めなくてもおいしい」というのも最高です。これが1缶100円前後だなんて、一体全体どうなっているんだ世界……!
そんないなばのカレー缶詰も、誕生からはや8年の月日が経ち、人間なら小学2年生。取り巻く状況も変化しているようです。というのも、いなば食品の公式サイトを見ていたところ、恐ろしいことに気がついたんです。
じゅ、17種類もある……!
発売当初は3種類くらいだったはずが、随分増えています。カレー缶にも多様化の波が押し寄せていたとは……
グリーンカレーに至っては、なんと4種類もある。
何がどれだけ違うというのか。眺めているだけだと答えが見つからないので、実際に食べてみたいと思います。
17種類集めました
で、こちらは17種類集まった状態です。壮観!
まずは近所のスーパーで探してみて、なかったものは「(缶詰の名前)」「通販」でグーグル検索し、通販サイトを探しました。
カレー缶は、大きく分けて「具(鶏肉や玉ねぎ)がゴロゴロ入ってるタイプ」と「具が見えない(溶け込んだ)タイプ」に分けられます。
あくまでも私の体感ですが、スーパーでは「具がゴロゴロ入っているタイプ」をよく見かけました。逆に「具が見えない(溶け込んだ)タイプ」は、ほぼ通販で手に入れています。
通販は、1缶売りからダース売りまでさまざま。
30缶からじゃないと買えなかったやつは大人買いしました。……こんな風に。
おかげさまでいま、自宅の備蓄が大充実しています。
4種類もあるグリーンカレー。その違いとは?
さて。まずは4種類もあるグリーンカレーから検証します。
君たちはいったい何が違うんだ……!?
チキンとタイカレー(グリーン)その①
まずはこちらから実食。マイナーチェンジはあったかもしれませんが、発売当初からよく見るパッケージです。
缶のなかには、さらっとしたグリーンカレーとゴロッとした鶏肉。鶏肉は、口に含むとほろっと解ける柔らかさです。
カレーの味はといえば、ココナッツの甘さがぐいぐいと押し寄せてくると同時に、エッジの効いた辛さもぐいぐい。甘さと辛さ、共存しています。
ただし辛党(私)的には、甘さが強いかなぁとも感じます。
チキンとタイカレー(グリーン)その②
続いてこちら。さっきの缶詰と同姓同名です。でもパッケージは全然違う。
あ、味も違う……!
甘さと辛さに加え、しょっぱ味を感じます。冒頭のカレーに、さらに味の種類の味が増え、バランスよく調和した感じです。
そう感じる理由は何だろうと、パッケージをまじまじと眺め直してみたところ、その名を見て納得しました。「ナンプラー(タイの魚醤)」。
心なしか日本の白米との相性もよくなったような。魚の旨み効果は絶大です。
チキンとグリーンカレー(スパイシー)
さらにこちら。パッケージの「辛さレベルMAX」「辛いのでご注意ください」という文字からも、辛いっぷりが透けて見えてくるのですが……
パッケージに恥じぬ辛さでした。唐辛子の刺激が口内を刺激してきて、「痛い」とすら感じる……
刺激を熱望する人におすすめしたいです。でも、辛いものが苦手な人は、何が何でも他のを選んでほしい。
深煮込みグリーンカレー
こちらも。4種類あるグリーンカレーで唯一、具が溶け込んでいるタイプです。
おや……?
今までにない味が登場しました。ざっくりいうと、甲殻類の風味がするんです。で、原材料名を確認したところビンゴでした。「シュリンプペースト(エビに塩を加え、発酵させた調味料)」が使われていたのです。
味全体としては、グリーンカレーなんだけど、そこまでグリーングリーンしていない。風味は感じるかな……といった具合です。
というわけで、食べてみると細々と味の違いが感じられた4選手。ざっくり言うと、表のような違いがありました。
3種類あるイエローカレーは、ひとつだけ辛い
イエローカレーも、グリーンカレー同様に原材料に違いがあるようです。法則を見つけました。ざっくりいうとこんな感じです。
味にはどのように反映されてくるのでしょうか。
チキンとタイカレー(イエロー)その①
まずはこちらから。
しっかり絶妙な塩梅に辛い……! 唐辛子が生き生きと仕事しています。会社内にいたらエースとか敏腕とかいわれるやつだと思う。
チキンとタイカレー(イエロー)その②
続いてこちら。ナンプラーが入ったやつ。
こちらも、グリーンカレーの時と同様に「味の種類が増えたな」という味わい。同時に、先に食べたカレーよりも辛さ控えめに感じます。
深煮込みタイカレーイエロー
さらにこちら。具が溶け込んでいるタイプです。
こちら、具が見えないせいか、最初はちょっと物足りないような気がしていたんですが……そんなことありませんでした。食べているうちに、かっぱえびせん的なやめられなさと止まらなさが湧いてきたのです。
エビの風味のせいなのか。
ごはんに合わせる、というよりも単独でずっと舐めていたい味わいです。何もする気にならない日でも、これを舐め続けることはできそう……
廃人っぽい感想ですがつまり美味しいということです。
トマト好きにはインドカレーがおすすめ
と、ここまでで登場したカレーは7種類。まだまだあります。続いてインドカレー。
発売当初はタイカレーのみだったところから、インドにも進出したんですね。ちなみにこちらも、つくっているのはタイの工場です。
インドカレーは黒と赤の2種類。黒のみ、具が溶け込んだタイプが出ています。加えて、バターチキンカレーも2タイプ。こちらも合わせて見ていきたいと思います。
なお、これらとタイカレーとの大きな違いは、原材料に「トマトペーストが入っていること」。一体どこまで味に変化が訪れるのでしょうか。
チキンとインドカレー 赤カレー
まずは赤から。
おお、タイカレーとは全く違う味わいです。トマト効果が絶大。味にしっかり影響しています。その上でコク深い。ごはんよりナンが合いそうだなとも思います。
ただ、すみません。これが本場の「インドカレー」なのかと聞かれると悩みます。というのもインドのカレーは、地域によってさまざまな姿があり、その種類が膨大だから。タイカレーに比べると、定義しづらいように思うのです。
どこかのインド料理屋で食べた味に似ている気もするし、違う気もする。でも、インド抜きにしても美味しいです。
チキンとインドカレー 黒カレー
続いて黒。
強烈なまでにスパイシー!
深みのある辛さです。刺激がすぎる……。
食べたあとの体がカーッと熱くなる感じに、スパイスの仕事ぶりを感じます。
心なしか、顔も赤みを帯びてきました。
深煮込みインドカレー 黒カレー
そしてこちらも。
スパイシーさ、炸裂でした。口にするたび、体がカーッとなるのがたまりません。
バターチキンカレー
お次はバターチキンカレー。
う、うまい……。
ココナッツの味わいとバターとのハーモニーがたまりません。玉ねぎやトマトも手伝って、スパイシーながらも、まろやかな味わい。刺激より、やさしさ優勢です。
悲しいことがあった夜とかに食べたら、癒し効果がありそうです。
深煮込みバターチキンカレー
さらに具が溶け込んでいるタイプも。
おや……これは。バターチキンカレーというよりも、バターチキン味のカレー……という表現の方が近いかもしれません。
そして、トマトの味がより強いです。味、ぜんぜん違います。
他の種類はどうなのだろう
と、タイとインドを見てきましたが、まだ終わりではありません。そのほかにも5種類もあるんです。
どれも茶色い。ほぼ一緒に見えなくもないんですが、味の違いやいかに。
赤ワインカレー 中辛
まずはこちらから。
「あ、いまワイン味の食べ物を食べているな」とひしひし実感できるくらい、ワインの味がしっかりしています。上品な味わい。
完熟トマトカレー 中辛
口の中にあふれんばかりのトマト……! ほかのカレーにも使われているトマトですが、段違いにトマトです。さすが「完熟トマト」を冠したカレー缶。
深煮込みカレー 中辛
一晩寝かせた、2日目のカレーを思い出しました。落ち着いて食べられる味です。
深煮込み甘口カレー
しっかり甘い!
パッケージに「りんごとマンゴーのまろやかな甘さ」と書いてあるんですが、まさしく果実らしい甘さです。
スパイシーカレー 辛口
一方、辛口は……
しっかり辛い!
とにかく辛さのパワーが絶大で、真っ先に感知してしまうせいか、ひたすらずっと辛さが口内に響き渡ります。
というわけで、どれも名前どおりの味わいすぎて震えました。
ベスト3は
そんなわけで、17種類ぜんぶがぜんぶ個性豊かだと判明したカレー缶。さいごに自分的ベスト3を発表して終わりたいと思います。
1位:バターチキンカレー
バターチキンカレーらしさに振り切っているところ、スパイシーだけどやさしいところに惹かれました。人間だったら滅茶苦茶モテると思います。
2位:チキンとタイカレー(グリーン)(ナンプラーが入っている方)
甘さと辛さだけじゃない。ナンプラーによる、しょっぱ味の絶妙さに惹かれつつ、日本の白米との親和性にもグッときました。
3位:イエローカレーで悩む!
米に合わせたいのは左。ずっと舐め続けたいのは右。いい大人として、舐め続けるのは如何かと思いつつも……。この2つ、選ぶのが難しいです。
でも、もっと言うと、全部が全部美味しいというのも正直なところ。自分の好みに応じて、缶詰のカレーが選べる世界が、末長く続いてほしいと願うばかりです。
ああ、缶詰はやっぱりファンタスティック。皆さまもぜひ、このレビューを参考にしたり、しなかったりしながら豊かな缶詰ライフを!