【CMで話題の過払い金】元弁護士が借金してるのにお金が戻る理由をわかりやすく解説!

こんにちは!

『元弁護士・ライターぴりかの法律blog』という法律ブログを運営している”元弁護士ライターのぴりか”と申します!

突然ですが、皆さん!

「昔借金していた人は、過払い金返還請求すると、お金が戻ってくる……」

という趣旨のCMを見たことはありませんか?

普通なら「借金しているのにどうしてお金が返ってくるのか、意味がわからない!」と思ってしまいますよね!

そこで、今回は、元弁護士の私”ぴりか”が過払い金請求でお金が戻ってくる仕組みを世界一わかりやすく解説していきます。

過払い金って何?どうしてお金が戻ってくるの?

過払い金請求は、借金をしている人が、サラ金やクレジットカード会社にお金の返還を求めることです。いったいなぜ、借金しているというのに、お金の返還を請求できるのでしょうか?

その秘密は「利息」にあります。

普通、借金しているときには毎月利息を支払いますよね。貸付利息には「利息制限法」という法律によって、上限が定められています。

<利息制限法の上限利率>
 
● 借金額が10万円未満・年率20%
● 借金額が10万円以上100万円未満・年率18%
● 借金額が100万円以上・年率15%

……結構高いですよね。

でも、過去にはもっと高い利息をとられていました。

昔は一定の要件を満たせば利息制限法を超えて貸付が可能だったからです。

しかし、最高裁判所で「そんな高い利息を払う義務はありません」という判決が出たので、利息制限法を超える払いすぎた利息を取り戻せるようになりました。

その後、法律も最高裁の判決を尊重し、2010年に改正を行い、利息制限法を超える利率での貸付が禁止されました。

つまり、過払い金請求は、「払いすぎた利息を取り戻す手続き」です。

借金しているだけでお金が戻ってくるのではなく、過去に払いすぎた利息があるから取り戻せるだけです。そう考えると、別に得な制度ではないのですよね。

確かに100万円以上取り戻している方などもいるのですが、裏を返せば「どれだけの利息を払ってきたんですか!?」という感じです。

なお、今は利息制限法を超過する利率で貸付をしている貸金業者はいません。(ただし、ヤミ金はのぞきます)。

借金返済中でも過払い金請求できる?

過払い金請求のことを知ると、「借金返済中でも過払い金請求ってできるのかな?」と考えますよね。

「今返済中で、滞納したら取り立てを受ける可能性もあるのに、お金が返ってくるなんてありえんだろ……」と思います。

しかし、借金返済中でも過払い金請求は問題なくできます。

ただし過払い金が発生するのは2008年頃の借入までなので、過払い金請求をするには、それ以前から借入をしている必要があります。

また、払いすぎ利息が残債務を超過していないと「過払い」にならないので、2008年以前に数年(人にもよりますが5年くらい)以上は取引をしていないと、実際には取り戻しが難しくなります。

つまり、2003年頃から借金し続けているケースでないと、返済中の過払い金請求はできない可能性が高いです。そうなると、少しハードルも高くなりますね。

過払い金が発生する借金としない借金がある!

「昔から借金していたら過払い金請求できるなら、私も該当するかも!」

そう思ったあなた、過払い金請求には他にも条件があるので知っておきましょう。

借金とはいっても借入の種類はいろいろあって、過払い金が発生する借金としない借金があります。

<過払い金が発生する借金>
 
●サラ金(消費者金融)の借金
●クレジットカードのキャッシングの借金

基本的に、過払い金が発生するのは上記の2つだけです。それ以外の借金では過払い金は発生しません。

<過払い金が発生しない借金>
 
● 住宅ローン
● 車のローン
● 奨学金
● クレジットカードのショッピング
● 個人からの借入金
● ビジネスローン
● 公庫からの借入金
● 銀行カードローン

たとえば上記のような借金では、過払い金請求はできないので注意しましょう。

サラ金やクレジットカードのキャッシングはOKなのに、銀行カードローンやクレジットカードのショッピングは対象外というのは、ちょっと驚きですよね。

でも銀行カードローンなどの借金は、もともと利率が低くて利息制限法以下だったので、利息の過払いにはなりません。

もう今は発生しない過払い金

「私、サラ金やクレジットカードのキャッシングなら利用してるから、過払い金請求できるかも!」と思ったあなたに、もう1つ注意があります。

それは、「過払い金は、もう今は発生していない」ことです。最高裁の判決を受けて多くのサラ金やクレジットカード会社は2008年頃には利息制限法を超過した利率での貸付をやめたからです。

「利息制限法を超える利率での貸付を禁止する法改正があったのは2010年なのに、なぜ2008年頃までしか高い利率を適用していないのか?」と疑問を持つ方がいるかもしれません。

しかし、そんな方に是非考えてもらいたいのですが、通常、法改正というのは、いきなり「今日から改正します!」ということはありません。そんなことをしたら、国民がびっくりして対応できないからです。

普通は改正をする何年も前に「こういう法改正をする予定ですから、準備しておいてくださいね」という案内があります。そこで、多くの貸金業者は、2010年の法改正を見越して、2008年頃には利息制限法を超過する利率での貸付をやめたのです。

それ以後に借入をした人は、利息制限法以内の利息しか払っていないので、過払い金が発生しないのですね。

今、サラ金やクレジットカードで借金返済をしていて「毎月の返済利息が高いなぁ……」と思っている方であっても、今の利息は利息制限法以内です。

。気になる方は、1度約款や取引履歴、返済予定表などで、現在の支払い利息が制限内になっているかどうか確認してみて下さいね。

過払い金請求の「期間制限」

過払い金請求は、借金返済中だけではなく完済しているケースでも、もちろん請求可能です。

しかし、完済後に過払い金請求するときには、注意点があります。それは「過払い金の時効」です。過払い金が時効にかかると、返還請求できなくなります。

では、過払い金請求権はどのくらいで時効にかかるのでしょうか?

過払い金請求権は、借金の完済後10年で時効にかかって消滅します。つまり借金を既に完済している人は、完済後10年以内に過払い金請求をしないと、お金を返してもらえません。

100万円以上の利息を払いすぎていても、時効になったら1円も返ってこないのです。驚くほどの損失ですよね!

なので、過去にサラ金やクレジットカードの借金を利用していた方は、すぐに過払い金が発生しているかどうか確認し、発生していそうなら今すぐ請求手続きに取りかかった方が良いですよ!

なお、完済後10年が経過しそうな場合でも、裁判(過払い金請求訴訟)を起こしたら時効を止めてお金を取り戻せるので「時効まであと1週間だから無理」などと思わずに、弁護士などの専門家に相談してみましょう。

過払い金のこと、少しわかっていただけたでしょうか? 心当たりがあるなら「今すぐ」調べてみましょう!